
薬剤師あゆみの会 代表理事
狭間 研至
Hazama Kenji
2015年に発表された「患者のための薬局ビジョン」では、「対物から対人へ」「立地から機能へ」「バラバラから一つへ」という3つのキーワードを通じて、薬局の在り方を「門前」から「かかりつけ」そして「地域へ」と進化させていく方向性が示されました。それ以降、薬局業界にはさまざまな変化が訪れています。2018年のいわゆる「0402通知」によって、薬剤師以外の者が担える業務の指針が示され、2020年の医薬品医療機器等法の改正では、服用後のフォローが薬剤師の業務であることが明確に位置づけられました。さらに、2025年の同法改正では、調剤業務の一部外部委託やOTC医薬品の遠隔販売が認められるようになり、この10年で業界の構造は大きく様変わりしています。
こうした法制度の変化に対応するかたちで、調剤報酬制度も段階的に見直されてきました。薬価の引き下げや薬価差益の減少、さらにドラッグストアによる調剤業務への参入といった動きが進む中、薬局を取り巻く経営環境はまさに激変しています。そして今、地域医療における薬局・薬剤師の役割は、これまで以上に再定義される局面にあると言えるでしょう。しかしながら、こうした大きな変化が進む中で、「これからの薬局や薬剤師は、どうあるべきか」については、理念や方向性こそ示されているものの、具体的な姿や、そこへ至るプロセスについては、依然として明確になっていないのが実情です。
本会では、発足以来20年以上にわたり、「質の高いコミュニティファーマシストの育成」を目的に掲げ、実際に薬局を運営する企業が中心となって、薬剤師の生涯研修にいち早く取り組んでまいりました。現場に根ざした知見と経験を活かし、実践的かつ継続的な研修認定薬剤師育成プログラムを構築・実施してきたことは、私たちの誇りであります。
いまこそ、地域に根ざし、住民の健康と暮らしを支える「本当に役立つ薬局」「信頼される薬剤師」を目指すときです。本会は、そうした志を持つ法人の皆様、そして薬剤師個人の皆様のご参加を心よりお待ちしております。ともに未来を切り拓いてまいりましょう。
令和7年10月
一般社団法人 薬剤師あゆみの会
理事長 狭間 研至